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年末が近づくと、東京・早稲田の穴八幡宮で授与される「一陽来復御守」の話題を目にすることが増えてきます。金運のお守りとして知られていますが、受けられる期間が冬至から節分までに限られていたり、貼る日や時間、向きにまで決まりがあったりと、初めての人には少し分かりにくいお守りかもしれません。
お守りそのものの話題はまだ少なく、冬至が近づくにつれて増えていく季節のものだと感じられます。言葉の意味は知っていても、お守りの決まりごとまでは知らないという人も多いのではないでしょうか。
この記事では、2026年冬至から2027年節分までの一陽来復御守の受け方と貼り方を順に紹介します。お守りの由来から、受けられる日と場所、貼る日と時間、方角の決め方、落ちてしまったときの対処まで、順番に見ていきましょう。
一陽来復御守とは?穴八幡宮だけのお守り
まずは、一陽来復御守がどんなお守りなのかを確認しておきます。由来を知っておくと、細かい決まりごとの意味も受け止めやすくなるはずです。
冬至から節分まで頒布される金銀融通の御守
一陽来復御守は、東京都新宿区西早稲田にある穴八幡宮で授与されているお守りです。穴八幡宮の公式サイトでは、冬至祭は洋の東西を問わず復活祭として重んじられてきた日で、この日に祭典を行う社寺は各地にあるものの、冬至祭の日から節分まで頒布する一陽来復御守は、ほかに類例のない全国唯一のものだと説明されています。
頒布される期間は、毎年12月の冬至の日から2月の節分の日までです。よくある質問のページでは、冬至よりも前、節分よりも後には出すことができないと明記されていました。一年のうち2か月ほどしか受けられないことが、このお守りの大きな特徴だといえるでしょう。
公式サイトによると、穴八幡宮の一陽来復御守は江戸時代の中期から、毎年冬至の福神祭に授与されてきた独特のものだそうです。「金銀融通の御守」とも呼ばれていると紹介されており、金運のお守りとして知られているのはこのためと考えられます。
お守りの中身についても、公式サイトに説明があります。御守には冬至祭でお供えした神饌が収められているので、破いたりして中をあらためないよう案内されていました。見た目は紙のお守りですが、お祭りでお供えしたものが中に入っている、特別なお守りだということが分かります。
もうひとつ、知っておきたいのが同じ名前のお守りとの関係です。よくある質問では、ほかで頒布されている同名のお守りとは一切関係がないと答えています。ほかのお守りと並べたほうが運気が上がる、上下をつけてまつる、といったことは神職は一切言っておらず、インターネットなどで関係のない人が言っているだけだとも書かれていました。
そのうえで、ほかの社寺のお守りは別の神様に見守ってもらっていると考え、それぞれの神様を大切に一年を過ごしてほしいと結ばれています。ネット上にはいろいろな情報が出回っていますが、迷ったときは穴八幡宮自身の案内を基準にするのが安心です。
なお、ご利益の感じ方は人それぞれで、お守りを貼れば必ずお金が増えるというものではありません。一年の区切りに気持ちを新たにするきっかけとして、決まりごとを丁寧に守りながら楽しむくらいの受け止め方がちょうどよいのかもしれません。
打出小槌の伝えと「一陽来復」の意味
一陽来復御守の由来は、穴八幡宮に伝わる福神、打出小槌にあると公式サイトで説明されています。この打出小槌は『新編武蔵国風土記』にも記載があるもので、公家の水無瀬家が山城国の国宝寺から感得したものを穴八幡宮に納めたと伝えられています。
さらに、この打出小槌は、聖武天皇が養老7年の冬至の日に龍神から授けられた宝器だという言い伝えもあるそうです。冬至の日にまつわる宝器が由来になっているので、冬至祭の日からお守りが頒布されるという流れにもつながっているのでしょう。
穴八幡宮そのものの歴史も古く、公式サイトの御由緒によると、康平5年(1062年)に奥州の乱を鎮めた源義家が、凱旋の途中でこの地に兜と太刀を納め、八幡宮を勧請したのが始まりとされています。寛永18年(1641年)には、宮守の庵を造るため南側の山裾を切り開いたところ神穴が現れ、中から金色の御神像が見つかりました。このときから穴八幡宮と呼ばれるようになったと伝えられています。
その後、三代将軍の徳川家光が当社を江戸城北の総鎮護とし、慶安2年(1649年)には社殿をはじめ多くの建物が完成しました。御祭神は應神天皇、仲哀天皇、神功皇后の三柱です。戦争で社殿が被災したあとは、平成元年から江戸時代の設計絵図をもとに再建が進められていると紹介されていました。
では、「一陽来復」という言葉にはどんな意味があるのでしょうか。隣にある放生寺の公式サイトでは、中国では冬至を太陽の運行の起点と考えて暦の始まりとし、この冬至を表す易経の言葉が「一陽来復」で、「陰極まって一陽を生ずる」という意味があると説明しています。冬至は一年でいちばん昼が短い日で、この日を境にまた日が長くなっていきます。
Xでも、易経の六十四卦の第24番目の卦である「地雷復」が一陽来復を表し、衰えた運気が再び回復に向かう時を意味すると紹介する投稿が見られました(Xの投稿)。日常でも、悪いことが続いたあとに運が開けるという意味の四字熟語として使われています。
冬至に陰が極まって陽が戻ってくるという考え方と、金銀融通の福神の言い伝えが重なったお守りだと考えると、冬至から節分という頒布期間にも納得がいくのではないでしょうか。
隣の放生寺の「一陽来福」との違い
穴八幡宮のすぐ隣には、高野山真言宗の放生寺があります。放生寺でも、冬至から節分までの期間に「一陽来福」というお札が授与されていて、名前がよく似ているので、どちらがどちらなのか迷う人もいるかもしれません。
Wikipediaの解説によると、放生寺は寛永18年(1641年)に穴八幡宮の別当寺として、神社の隣に創建されたお寺です。神仏習合の時代には穴八幡宮と分かちがたい関係にあり、江戸時代に始まった一陽来復の札の授与は、穴八幡宮と放生寺の双方で行われていると紹介されていました。明治の神仏分離によって、穴八幡宮の境内にあった放生池が放生寺の管轄になったという経緯も記されています。
放生寺の公式サイトでは、お札の名前が「一陽来福」と1文字違う理由を説明しています。観音経の偈文にある「福聚海無量(ふくじゅかいむりょう)」、つまり福を集めること海のごとく無量なり、という言葉から「福」の字をいただき、「復」の字に重ねて「一陽来福」と名付けたそうです。一陽とともに福もかえり来るように、本尊に祈願して江戸の昔に信徒へ授与したのが始まりだと書かれていました。
放生寺では、冬至の日に本堂で冬至祭の護摩祈祷が五座行われると案内されています。一年でいちばん日の短い冬至は、放生寺にとっても一年でいちばんにぎわう日だそうです。お札は、節の変わり目である冬至、大晦日、節分の深夜12時に、恵方に向けて貼るのが最大の特徴とされていました。
一方で、穴八幡宮のよくある質問では、ほかで頒布している同名のお守りとは一切関係がないと答えています。神社とお寺はそれぞれ別の宗教法人で、お守りとお札もそれぞれの由来と作法をもつものです。両方を受ける人もいますが、どちらかが本家だという話に深入りする必要はないでしょう。
大切なのは、受けたお守りやお札に添えられている説明書きに従うことです。貼る日や時間はよく似ていますが、細かな注意点はそれぞれの案内に書かれています。穴八幡宮の御守は穴八幡宮の説明書、放生寺のお札は放生寺の説明書というように、受けた場所の案内を確認してからおまつりするのが安心です。
並べて貼る場合の扱いについては、穴八幡宮の公式サイトに、まつる場所が神棚やほかの神社の御守と一緒になったときは、上下の差をつけずに並べてまつるよう案内がありました。上下をつけると運気が変わるといった話は、少なくとも穴八幡宮の案内には見当たりません。
2026年はいつ、どうやって受けられる?
ここからは、2026年冬至から2027年節分までの期間に、一陽来復御守を受ける方法を見ていきます。日付は国立天文台の暦要項にもとづいています。
2026年12月22日の冬至から2027年節分まで
国立天文台が公表している令和8年(2026年)の暦要項によると、2026年の冬至は12月22日で、冬至の時刻は5時50分です。穴八幡宮の頒布期間は冬至の日から節分の日までなので、2026年度の一陽来復御守は12月22日(火)から受けられることになります。
終わりの節分は、立春の前日です。令和9年(2027年)の暦要項では、2027年の立春は2月4日10時46分、節分は2月3日と掲載されていました。したがって、2026年冬至から始まる頒布期間は、2027年2月3日(水)の節分の日までと考えられます。
公式サイトでは、冬至と節分はその年の暦によって前後するので、必ず御守と一緒に渡される説明書を確認するよう呼びかけています。冬至は例年12月22日前後、節分は例年2月3日前後とされていますが、年によって1日ずれることもあるため、毎年確認しておくと安心でしょう。
頒布期間はおよそ1か月半あります。冬至の日を過ぎても受けられるので、仕事や予定の都合で冬至当日に行けない場合でも、年末や年明け、節分までのあいだに参拝すれば大丈夫です。冬至の日にこだわる必要はないことは、覚えておきたいポイントです。
ただし、受けた日によって、その年度に貼れる日の選択肢は変わります。後で詳しく見るように、貼れる日は冬至、大晦日、節分の3つです。たとえば1月中旬に受けた場合、その年度に残っている貼れる日は節分だけになります。
境内の時間も確認しておきましょう。公式サイトの御由緒のページによると、拝殿は朝6時から夕方5時まで、お賽銭箱の奥の幣殿は朝9時から夕方4時まで、社務所は朝9時から夕方5時までと案内されています。Wikipediaの解説では、冬至の日は特別に午前5時から受けられると紹介されていますが、その年の時間は穴八幡宮の発表で確かめるようにしてください。
なお、御朱印は一陽来復御守の頒布期間である冬至から節分までは行っていないと、よくある質問に書かれていました。御朱印を集めている人は、この期間を避けて参拝する必要があります。
曜日も確認しておくと、2026年の冬至の12月22日は火曜日、2027年の節分の2月3日は水曜日にあたります。どちらも平日なので、冬至の当日や節分の当日に参拝したい人は、仕事や学校の予定とあわせて早めに計画しておくとよいでしょう。ちなみに、令和9年の暦要項によると、2027年の冬至は12月22日11時42分です。次の年度の頒布も、この日から始まることになります。
早稲田駅からのアクセスと受けるときの準備
穴八幡宮の所在地は、東京都新宿区西早稲田2丁目1番11号です。公式サイトの交通案内によると、東京メトロ東西線の早稲田駅で降り、3B出口から歩いて5分ほどで着きます。副都心線の西早稲田駅からは歩いて15分ほどかかると、よくある質問で案内されていました。
バスでは、都営バスの学02系統(早大正門と高田馬場駅を結ぶ路線)で「馬場下町」で降りるとすぐです。早77系統は「馬場下町」から歩いて3分、早81系統は「馬場下町」から5分ほどと案内されています。上69系統と飯64系統は「西早稲田」で降りて、歩いて5分ほどです。
車で行こうと考えている人は注意が必要です。穴八幡宮には駐車場も駐輪場もありません。よくある質問では、冬至の日は大規模な交通規制などもあるので、頒布期間中は必ず公共の交通機関で来るよう呼びかけていました。無断駐車は即時通報するとまで書かれているので、車での参拝は避けたほうがよさそうです。
支払いについても確認しておきましょう。よくある質問によると、電子マネーやクレジットカードは一切使えないそうです。キャッシュレス決済に慣れている人ほど、現金を用意し忘れやすいので、出かける前に財布の中を確かめておくと安心でしょう。
郵送についても、はっきりとした案内があります。御守や御札を受けるうえで神様へのあいさつである参拝はとても大事なことで、不特定多数の人の手に触れる郵送は避けたいため、郵送は行っていないとのことでした。ネットなどで郵送できると書かれている場合はすべてデマなので注意してほしい、とも書かれています。
冬至の日は混雑が予想されます。Wikipediaの解説では、早朝からお守りを求める待機列が年々長くなったため、2022年に穴八幡宮がテントの設営など非常識な行為をしないよう呼びかけたことが紹介されていました。冬至の日は並ぶ時間も含めて予定を立て、寒さ対策もしておくとよいでしょう。
境内での飲食や飲酒は原則禁止で、喫煙所もなく、電子タバコも紙巻たばこも全面的に禁止です。お手洗いは諏訪通り側の鳥居のそばにあり、朝9時から夕方4時半までは無料、それ以外の時間は有料と案内されています。帽子やリュックサック、かばんは外してからお参りするよう書かれているので、あわせて覚えておきましょう。
貼る日と時間はいつ?
一陽来復御守は、受けた日にすぐ貼るのではなく、冬至などの節目の日の、夜中の決まった時間に貼るお守りです。ここでは、2026年度の具体的な日付と時間を確認します。
冬至と大晦日と節分の3つの日から選ぶ
穴八幡宮の公式サイトによると、一陽来復御守を自宅や会社でおまつりできる日は、冬至(例年12月22日前後)、大晦日(12月31日)、節分(例年2月3日前後)の3日です。この3日のうちから自分の都合のよい日を選び、その日が終わる夜中の12時、つまり0時ちょうどにおまつりするよう案内されています。
2026年度に当てはめてみると、次の3つのタイミングになります。冬至に貼る場合は、2026年12月22日から23日に日付が変わる瞬間です。大晦日に貼る場合は、2026年12月31日から2027年1月1日に変わる瞬間になります。節分に貼る場合は、2027年2月3日から立春の2月4日に変わる瞬間です。
ここで気をつけたいのは、「冬至の夜12時」を「冬至の日の始まりの0時」と取り違えないことです。冬至に貼る場合、12月21日から22日に変わる瞬間ではなく、冬至の日が終わる22日から23日に変わる瞬間に貼ります。公式サイトにも、冬至から翌日に変わる瞬間である12時ちょうどと、例を挙げて書かれていました。
3つの日には、それぞれ暦のうえで節目という共通点があります。冬至は一年でいちばん昼が短く、この日から日が長くなっていく日です。大晦日は新しい年に切り替わる日、節分は立春の前日で、暦のうえで春を迎える前の日にあたります。放生寺の公式サイトでも、節の変わり目である冬至、大晦日、節分の深夜12時に貼ると説明していました。
どの日を選ぶかは、受けた日と生活の予定で決めるのが現実的です。冬至の日に受けて、その夜にそのまま貼る人もいれば、年末の大掃除を終えてから大晦日に貼る人もいるでしょう。年明けに受けた場合は、節分が残された日になります。
たとえば、冬至の日の夜は翌日の仕事に備えて早く休みたいという人なら、休みの人が多い大晦日を選ぶという考え方もあります。反対に、大晦日は帰省や年越しの行事で家にいないという人は、冬至か節分を選ぶとよいでしょう。貼る場所の部屋にその時間にいられるかどうかも、選ぶときの目安になります。
貼る日を逃してしまった場合はどうなるのでしょうか。穴八幡宮の案内では、貼れるのはこの3日に限られています。たとえば冬至の夜に間に合わなかった場合は、次の大晦日か節分まで待つことになるでしょう。節分の夜も逃してしまうと、その年度に貼れる日はなくなってしまうので、予定は早めに決めておくのがおすすめです。
日付が変わる瞬間に貼るための準備
貼る時間について、穴八幡宮のよくある質問にはとても分かりやすい答えが載っています。冬至や大晦日、節分の夜中12時ちょうどとは、それぞれの日の翌日に変わる瞬間である12時ちょうどのことです。何分何秒とは考えず、あくまでも日付が変わる瞬間に壁や柱へおまつりしてください、と書かれていました。
秒単位にこだわりすぎなくてよいと分かると、少し気持ちが楽になるのではないでしょうか。とはいえ、日付が変わる瞬間に貼るためには、事前の準備が欠かせません。夜中の0時に慌てて方角を測ったり、のりを探したりしていると、あっという間に時間が過ぎてしまいます。
準備としてまず大切なのは、貼る場所を昼のうちに決めておくことです。部屋の中心を割り出し、方位を測って、貼る壁や柱の位置まで決めておきます。踏み台が必要な高さなら、その用意もしておくと安心でしょう。
次に、のりを準備します。穴八幡宮のよくある質問によると、御守自体は和紙でできているので、和のりか和紙に使えるのりを使うよう案内されています。普通の両面テープだとはがれてしまうことが多いと聞くので注意してほしい、とも書かれていました。のりは貼る直前に塗れるよう、手元に置いておきます。
時刻の確認には、正確な時計を使いましょう。スマートフォンの時計は通信で時刻が合わせられているので、目安として使いやすいでしょう。0時の少し前に貼る場所の前で待ち、日付が変わったところで貼るという流れにしておくと、落ち着いておまつりできます。
ちなみに、冬至の時刻と貼る時間は関係がありません。2026年の冬至の瞬間は国立天文台の暦要項で12月22日5時50分とされていますが、穴八幡宮が案内している時間はあくまで冬至の日が終わる夜中の0時です。天文学上の冬至の時刻に合わせて貼る必要はないので、混同しないようにしたいところです。
夜中の作業になるので、家族と暮らしている場合は事前にひと声かけておくとよいでしょう。音を立てずに済むよう、必要なものを一か所にまとめておくと、0時前後に慌てずに済みます。
より正確な時刻を確かめたい場合は、情報通信研究機構(NICT)の日本標準時グループのサイトを参考にする方法もあるでしょう。このサイトには日本標準時(JST)を表示するページが用意されていて、標準電波JJYの運用状況なども公開されています。電波時計は、この標準電波を受信して時刻を合わせるしくみです。もっとも、穴八幡宮は何分何秒とは考えなくてよいと案内しているので、ふだん使っている時計で日付の変わり目が分かれば十分でしょう。
正しい貼り方と方角は?
一陽来復御守は、貼る向きと貼り方にもはっきりした決まりがあるのです。ここでは、方角の決め方と貼り方、落ちたときの対処を順に確認していきます。
部屋の中心から恵方に文字を向ける
穴八幡宮の公式サイトによると、自宅の場合は、日ごろ家族が集まるリビングや居間でおまつりします。おまつりする部屋の中心から見て、御守と一緒に渡される説明書に書かれている「恵方」に「一陽来復」の文字が向くように貼るのが基本です。
キッチンや押入れなどが一緒になっている間取りの場合は、キッチンや押入れの部分を除いたうえで、リビングの中心から方位を決めるよう案内されています。会社の場合は、代表者の部屋か、社員が集まる部屋の中心から方位を測り、恵方に文字が向くようにおまつりするとされていました。
恵方とは、その年の福徳をつかさどる歳徳神がいる方角のことです。Wikipediaの「歳徳神」の解説によると、恵方はその年の十干によって決まり、丁と壬の年は壬の方角(方位角345度)、丙・辛・戊・癸の年は丙の方角(方位角165度)などと定められています。2027年は丁の年なので、恵方は壬、北北西やや北の方位角345度にあたります。
では、2026年冬至から始まる御守では、どの年の恵方を使うのでしょうか。2025年冬至から2026年節分までの御守について解説したサイトでは、説明書の恵方が2026年の恵方である丙(方位角165度)だったと紹介されていました。これに当てはめると、2026年冬至からの御守は2027年の恵方である壬を向くことになると考えられますが、正式には受けたときの説明書で必ず確かめてください。
恵方が方位角345度であれば、「一陽来復」の文字は北北西やや北を向き、御守は部屋の中心から見て反対側、南南東やや南(方位角165度)の壁や柱に貼ることになります。文字を恵方に向けるので、貼る場所は恵方の反対側の壁になる、という点がつまずきやすいところです。
同じ解説サイトでは、穴八幡宮の説明書は恵方を24方位ではなく十二支で説明していて、丙の方角を「巳午」、反対側の壬の方角を「亥子」と表していると紹介されていました。十二支の方位に慣れていない人は、方位角に置き換えて考えると分かりやすいでしょう。
エアコンや扉など障害物があって、ちょうどよい位置に貼れない場合の案内もあります。公式サイトでは、左右どちらかに貼る場所をずらし、一陽来復の文字が恵方を向くように、のりをつける位置を工夫しておまつりするよう書かれていました。方角を守ることを優先して、場所は柔軟に調整してよいということです。
方位は24方位と磁北のずれに注意
恵方を正確に向くためには、方位の測り方にも少し注意が必要です。天気予報などで使う16方位は22.5度刻みですが、恵方は24方位で決まり、15度刻みになります。「北北西」といった16方位の言い方だけで向きを決めると、本来の恵方から少しずれてしまう可能性があるわけです。
そこで便利なのが、方位角の数字で考える方法です。北を0度として時計回りに数える方位角を使えば、壬は345度、丙は165度というように、ひとつの数字で向きを表せます。スマートフォンのコンパスアプリなら方位角が数字で表示されるので、間取り図とあわせて使うと位置を決めやすくなります。
ここで気をつけたいのが、方位磁石が指す北と、地図の北とのずれです。国土地理院によると、方位磁石の北と地図の北(本当の北)はずれていて、そのずれの角度を偏角といいます。偏角は場所や時間によって変わり、地球内部で生まれる磁気が複雑に分布し、刻々と変化していることによるものだと説明されていました。
東京の場合、国土地理院の発表では、この50年間で偏角は西へ6度20分から7度40分へと、1度20分ほどずれが大きくなっています。つまり東京では、方位磁石が指す北は本当の北より7度半ほど西にずれているということです。伊能忠敬が全国の測量を始めた1800年ごろは、方位磁石の北と地図の北はほぼ一致していたとも紹介されていました。
15度刻みの方角を向くときに7度以上のずれがあると、隣の方角に近づいてしまうこともありえます。コンパスアプリによっては、本当の北(真北)を基準にするか、磁北を基準にするかを設定で選べるものもあります。どちらを基準にするかは人によって考え方が分かれますが、穴八幡宮の説明書の書き方もあわせて確認し、納得できる方法で測るとよいでしょう。
部屋の中心を決めるときは、間取り図があると便利です。四角い部屋なら対角線の交わるところが中心になりますが、L字型の部屋などは中心が分かりにくいかもしれません。穴八幡宮がキッチンや押入れを除いてリビングの中心から測るよう案内しているので、まずは対象になる範囲を決めてから中心を割り出すと考えやすくなります。
測り方に完璧を求めすぎると、かえって疲れてしまうこともあります。昼のうちに落ち着いて方位を測り、貼る場所に印をつけておけば、夜中の0時に迷わず貼れるはずです。
和のりで壁や柱に直接貼る
貼り方についても、穴八幡宮の公式サイトには具体的な注意点があります。和のりなどの接着剤を使い、台紙などは使わずに、壁や柱に直接おまつりするよう案内されていました。よくある質問でも、台紙は使わずに壁や柱に直接まつるよう答えています。
一方で、してはいけないこともはっきり書かれています。画鋲などで刺すことや、御守の上からテープで壁に押さえつけるようなことは、絶対にしてはいけないとされていました。御守には冬至祭でお供えした神饌が収められているので、穴を開けたり、上から押さえつけたりしないということなのでしょう。
使うのりは、和のりか、和紙に使えるのりが基本です。御守は和紙でできているため、普通の両面テープだとはがれてしまうことが多いと、よくある質問で注意が呼びかけられていました。賃貸住宅などで壁を汚したくないと迷う人もいるかもしれませんが、穴八幡宮の案内は壁や柱に直接貼ることになっています。
貼る高さについては、多くの解説サイトで目線より高い位置に貼るよう紹介されています。ただ、高い場所に夜中に貼る作業は転倒の心配もあるので、踏み台を使うときは足元に十分気をつけてください。安全に貼れる高さを、昼のうちに確かめておくと安心でしょう。
神棚がある家では、神棚と並べてまつりたいと考える人もいるでしょう。公式サイトでは、まつる場所が神棚やほかの神社の御守と一緒になった場合は、上下の差をつけずに並べてまつるよう案内しています。神棚のお札の上に貼る、下に貼るといった差をつけず、横に並べるということです。
一度貼ったあとの扱いについても知っておきましょう。解説サイトの多くは、翌年の冬至以降に新しい御守と取り替えるまで、一年間動かさずにまつるものだと紹介しています。古い御守の納め先について、穴八幡宮のよくある質問では、穴八幡宮の御守や御札であれば社務所で預かり、お焚き上げすると答えていました。
貼る作業そのものは数秒で終わりますが、のりの量が少ないと、乾燥した冬の部屋ではがれやすくなるかもしれません。和紙用ののりを使い、端までしっかり押さえて貼ると、落ちる心配が少なくなります。
のりを塗るときの扱いにも気をつけたいところです。御守の中には神饌が収められていて、破いたりして中をあらためないよう案内されています。のりを塗る際に強くこすったり、貼りやすくするために折り曲げたりすると、和紙が傷んでしまうおそれがあるでしょう。のりは裏側に塗り、やさしく押さえて貼ると安心です。
落ちたときや引っ越すときの対処
どれだけ気をつけて貼っても、時間がたつと御守が落ちてしまうことがあります。穴八幡宮の公式サイトでは、落ちてしまった御守を再びおまつりすることはできないと案内されていました。すぐに白い半紙や封筒で包み、穴八幡宮の社務所に納めるよう書かれています。
引っ越しの場合も同じ考え方です。公式サイトによると、新しい住まいで同じ御守をおまつりすることはできないので、引っ越す前に外して、穴八幡宮の社務所に納めるよう案内されていました。年度の途中で転居が決まっている人は、貼る日を選ぶときにも頭に入れておくとよいでしょう。
外した御守を納める時間も決まっています。朝9時から夕方4時までに社務所に御守を納め、御神前で神様にその旨を報告するお参りをすればよいと書かれていました。郵送はできないので、直接持っていく必要があります。
公式サイトには、気持ちが少し軽くなる説明もありました。御守が落ちてしまったり、転居などやむを得ない事情で途中で外したりしたとしても、おまつりする日時が重要な御守なので、社務所に納めて報告のお参りをすれば結構です、と書かれています。落ちたからといって、必要以上に心配しなくてもよいということでしょう。
落ちてしまったあと、同じ年度のうちに改めておまつりしたい場合は、新しい御守を受けることになります。頒布期間は節分までなので、それより後に落ちた場合は、次の冬至を待つことになるでしょう。貼る日の機会も冬至、大晦日、節分に限られるので、時期によっては次の年度からということになりそうです。
落ちる原因として多いのは、のりの量や種類だと考えられます。両面テープではがれやすいという注意があるのはそのためでしょう。最初から和紙に合ったのりを使い、エアコンの風が直接当たる場所を避けるなど、貼る場所の環境にも気を配っておくと安心です。
御守が落ちた日のことを悪い知らせのように感じてしまう人もいるかもしれません。ただ、穴八幡宮自身が、日時が重要なお守りなので納めて報告すればよいと説明している以上、落ち着いて手順どおりに対応すれば大丈夫でしょう。
時間の違いにも注意しておきましょう。公式サイトの案内では、社務所は朝9時から夕方5時まで開いていますが、御守を納める時間は朝9時から夕方4時までとされています。幣殿も朝9時から夕方4時までなので、御神前で報告のお参りをするなら、夕方4時より前に着くように出かけるのがよさそうです。なお、よくある質問によると、社務所でお焚き上げのために預かってもらえるのは穴八幡宮の御守や御札です。
まとめ
一陽来復御守の受け方と貼り方について、この記事で見てきたポイントを振り返ります。
- 一陽来復御守は穴八幡宮で冬至の日から節分の日まで頒布される金銀融通の御守で、2026年度は12月22日の冬至から2027年2月3日の節分までと考えられる
- 郵送は行っておらず、電子マネーやクレジットカードも使えないため、公共の交通機関で参拝し、現金を用意しておく
- 貼る日は冬至、大晦日、節分の3つから選び、その日が終わって翌日に変わる夜中0時ちょうどにおまつりする
- 部屋の中心から説明書に記された恵方に「一陽来復」の文字を向け、和のりで壁や柱に直接貼り、画鋲やテープで押さえない
- 落ちた御守や引っ越しで外した御守は再びまつらず、白い半紙や封筒で包んで社務所に納め、報告のお参りをする
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